Products 2 | 打ち上げ花火

三遠煙火で主に扱っている打上げ花火を簡単にご紹介します。製造工程については工程のご紹介をご覧ください。

1. 花火の大きさ

花火製造の現場の多くでは、日本の伝統的な寸法を用います。通常10号玉と呼ばれる直径約30cm(=一尺)の玉は一尺玉とも呼ばれます。一尺玉は300m以上上空で開花し、開いた時の大きさは280mにもなるとされています[日本煙火協会, 2009] 。下の表に、打ち上げ筒の直径(中に込める花2. 割物花火火玉の径よりもやや大きい)と、花火が開いた時の大きさの目安を示します。

花火玉と打ち上がりの大きさの目安 [日本煙火協会 2009:18-19]

サイズ [号]10(一尺)20(二尺)
筒の直径 [m]0.090.150.210.300.60
玉の到達高さ [m]120190250330450
開く大きさ [m]60150200280500

2. 割物花火

2-1. 割物花火の名称

割物花火は、その名称でおおまかな開き方が分かります。

<例>  三重芯牡丹(みえしんぼたん)

ここでいう”芯”とは、花火が開いた様子を丸い花に例えると、中心のおしべにあたる部分の事です。この芯が一重の場合は、芯入り花火などと呼びます。上の例では三重芯なので、最も大きく開いた時に芯が三重に見えるということです。(但し、通常 “八重” というのは二重を指します)

牡丹とは、花火の開き方が、尾を引かずにまっすぐに広がっていく様で、つまりこの割物花火は “三重の芯を持ち、牡丹咲きをする” という事です。

このように、割物花火には芯の数とその開き方 (星の種類) で名称を付けるのが一般的です。

花火の開き方の例

牡丹 (ぼたん) : 菊 (きく) : 冠菊 (かむろぎく) /枝垂柳 (しだれやなぎ) : 椰子 (やし) :
尾を引かず、まっすぐ開く。星の色が途中で変わるものが変化牡丹 尾を引き、まっすぐ開く。星の色が途中で変わるものが変化菊 尾を引き、長く垂れ下がる 尾を引き、強く光る星が椰子の葉の様に伸びる

2-2. 水上花火

水面近くで開くよう打上げた割物花火は上半分が水上に顔を出し、下半分は水面下に浅く潜ります。水上花火は湖、河川、海等で行われる割物花火の演出で、打ち込み、投げ込みの他に杭を用いる方法があります。

3. 千輪花火

小さな菊や牡丹の割玉(小玉)が大きな外殻に沢山入っており、打上げた時に一斉に開きます。千輪菊などと呼びます。

4. ポカもの

千輪と同様、外殻の中に音を出す部品や不規則に動く部品が沢山入っています。部品に使うもので 不規則に動いて光るものを蜂、音を出すものを笛などと呼びます。 星を入れる場合には割物花火のように並べず、開発した後には束になって垂れ下がっていきます。

2019年スターマインで使用されているポカ玉

5. 型物花火

蝶写真

星が全て開いた時の全体像が球形でなく、自由な形で開く花火。代表的なものにハートやスマイルマーク、写真のような胡蝶やひまわりがあります。

この花火は星を平面的に組み立てる事が多く、その場合には観る角度によって開いた時の形が異なって見えます。

2018年湖西湖上花火大会、型物花火を多数盛り込んだスターマイン

6. 演出に使うトラ、マインなどの花火

トラとマインによる演出

夜空に開く打上げ花火は花火大会の主役です。しかし、それらの大きな打上げ花火だけでなく、真上や斜め上に火花を吹き上げるトラや、星 (火薬の入った小さな球) がいくつも飛び出すマインなどは、花火をより美しく見せる為に重要な役割を果たします。

2011年豊橋祇園祭、花火大会の開幕に使用された笛。
これはポカ玉ではなく、筒に部品が直接仕込まれているのでマインと呼ぶ。
(動画提供  豊橋祇園祭奉賛会

7. 仕掛け花火

滝仕掛け

水上に仕掛けた紐から滝の様に火花が流れ落ちる、滝仕掛け、あるいはナイアガラと呼ばれる花火。そして絵や文字を象った枠に火薬を仕掛けて文字を浮かび上がらせる枠仕掛けや、火薬が勢い良く燃える反動で回転する滑車を使った大火輪などは、仕掛け花火と呼ばれます。これらの仕掛け花火は、花火大会やお祭りなどでよく使用されます。

大火輪

8. スターマイン

2種類以上や何発もの花火を同時、もしくは次々に打上げ、タイミング、見え方、リズムなどで総合的な演出を加えた花火作品をスターマインと呼びます。

近年は電気点火及びコンピューター制御によって点火のタイミングを緻密に制御する事が可能になり、空間を大きく使えるとともに、音楽とシンクロした花火を打上げられるようになりました。この事により作業員の安全を確保すると同時に、私たち花火屋にとっても表現の幅が広がりました。

これからは、これらの技術と花火屋の感性を駆使した花火ショーを大いに楽しんでいただきたいと思います。

All photos are taken by Shoji Hatanaka